新規層の流入で大いに盛り上がっているVRChat。対応アバターの新作が続々と発売される中、フォロー&リポストキャンペーンを多く見かけるようになったと思います。
ここで気になったのは制作者ではなく、他のユーザーや第三者が主催するキャンペーンです。なぜ新作アバターを制作者以外の他人が使用してキャンペーンを行うのか?
他人が行うキャンペーンの広告効果と比べて、制作者であるクリエイターに広告効果や利益が少ないのでは?と思い不平等感を感じ、モヤモヤしました。
この記事では、制作者以外の他人が行う「フォロー&リポストキャンペーン」が生み出す影響や不平等感について、そして公平性を保ちながらも最大利益が出せるWin-Winな方法がないかを考察していきます。
フォロー&リポストキャンペーンの概要
企業や個人が自身のアカウントをフォローし、特定の投稿をリポストすることで参加者にプレゼントを提供する形式のマーケティング手法です。簡単な操作で参加できるため、急速に広まり、様々なクリエイターや企業が活用しています。
基本的に以下のプロセスで進行します。
- キャンペーン主催者のアカウントをフォローする
- 特定のツイートをリポストする
- 応募者の中から抽選で賞品がプレゼントされる
この方法は、フォロワーを短期間で増やし、拡散力のあるユーザーによって商品やサービスの認知度が大幅に上がります。キャンペーン自体は、フォロワー数拡大と宣伝を目指す者にとって非常に有効な手法です。
なぜ制作者以外の他人がキャンペーンを行うのか?
制作者以外の他人がキャンペーンを行う理由には、いくつかの目的や戦略が考えられます。
1. 自身のフォロワーや影響力を増やすため
手軽にフォロワーを増やし、リポストを通じて多くの人に自身の存在をアピールできます。将来的に自身の商品やサービスの販売に役立つ可能性があります。
2. 競合商品や類似商品の宣伝目的
フォロワーを集め、自身が販売している類似商品や競合商品の宣伝を行う目的が考えられます。制作者の作品に興味を持つユーザー層を集めることで、自分の商品も注目されやすくなります。
3. 商品をプレゼントして信頼を得る
商品の購入やプレゼントを行うことで、自身の信頼性や好意的な印象を与えることが目的の場合もあります。賞品を提供することで、フォロワーからの好感度が上がり、その後の活動がスムーズに進む可能性が高まります。
「他人にプレゼントをしている良い人」という印象を与え、自身の活動に対してポジティブな反応を引き出しやすくなります。
4. マーケティングやプロモーションの一環
他人が自分自身のマーケティングやプロモーション活動として利用するケースもあります。制作者の作品を利用して話題性を高め、自分自身のブランドやビジネスの認知度向上を図ることができます。
人気のある商品をプレゼントすることで多くの関心を集め、それにより自身のプロモーション活動に波及効果をもたらします。
5. コストがかからない宣伝手段
制作者の商品の人気で多くのフォロワーを増やし効率的に注目を集めることができます。
商品を購入して配布するだけで、制作や発送のコストがかからず、リスクも少ないため、安価なプロモーション手段となります。
他人が行うキャンペーンで被る制作者への影響
その行為について制作者への影響は?いくつかの良い点と悪い点がありますが、基本的には問題が多い状況です。
良い点
1. 制作者の作品が拡散される可能性
作品が広く拡散され、多くの人に知ってもらえる可能性があります。
2. 新規ファンが増える可能性
多くのユーザーがその商品を目にすることで、制作者の作品に興味を持ち、新しいファンが増える可能性があります。
3. 口コミ効果
キャンペーン参加者同士でその商品についての口コミが広がることもあり、認知度や評判が上がる場合があります。
悪い点
1. 著作権や知的財産権の侵害
他人が制作者の許可なく作品を賞品にすることは、著作権や知的財産権の侵害となる可能性が高いです。Boothのギフト機能を利用しているとしても、許可なしに他人の商品を宣伝に使用する行為は、著作権侵害や不正利用とみなされることがあります。
2. ブランドイメージの損害
制作者の許可なしに商品が使用されることで、制作者の作品やブランドのイメージに悪影響を与える可能性があります。特にキャンペーンの内容やその主催者が信頼できない場合、制作者や作品の評判が損なわれるリスクがあります。
3. 信頼性の問題
キャンペーンが信頼できるものかが不透明な場合、混乱を招き、不信感を抱いたりする可能性があります。また、制作者がキャンペーンと無関係であることが知られると、詐欺的な印象を与えることもあります。
4. 買い渋りの可能性
発売したばかりの商品をプレゼントしている場合、キャンペーン参加者はその作品を無料で手に入れるチャンスがあると認識します。そのため発売直後に購入する代わりに、キャンペーンに参加して待つ方が得だと感じることがあります。キャンペーン終了後、参加者の購買意欲が低下しているなどの要因で購入を控えるユーザーが増える可能性があります。
5. 販売機会の喪失
発売直後の注目度が高いタイミングでキャンペーンが行われると、販売機会が失われる可能性が高まります。初動が重要なデジタル商品の場合、最初の勢いを削がれることで、長期的な販売に悪影響を与えることもあります。
6. 不正競争の可能性
他人がキャンペーンでフォロワーを集めた後、自分の類似商品を販売するという戦略は、意図的に制作者の販売を妨げ、自分の利益を優先している行為です。これは、他人が制作者の作品を利用して自分の宣伝材料にしていることを意味します。このような行為は、不正な競争方法であり、制作者にとって非常に不平等です。
7. フォロワーの不当な獲得
他人がキャンペーンを通じて大量のフォロワーを獲得し、そのフォロワーを使って自分の商品を販売することで、本来制作者が得るべき関心や顧客を他人が横取りしている状態が発生しています。これにより、制作者はフォロワーの獲得やマーケティング機会を失うことになります。
8. 制作者の利益が守られない
キャンペーンを行っている他人が得る利益(フォロワーの増加や類似商品の販売)に対して、制作者はプレゼント分の対価しか得られないため、制作者の立場が不利に感じられ、不平等な状況が生まれます。
9. 倫理的な問題
他人が制作者の労力や創造力を利用して利益を得ることは倫理的に問題があります。制作者の作品を敬意を持って扱うべきであり、その利用方法には制作者の同意が必要です。
モヤモヤの原因、不平等感について
前述の通り、制作者に対して多くの不平等感が生じる点が明らかになりました。
特に類似商品を販売する他人が発売日にキャンペーンを実施する場合、制作者の市場が侵食され、フォロワーの横取り、制作者の販売競争が不利になっているように見えます。キャンペーンが必ずしも悪いわけではありませんが、第三者から見ても不公平な状況が問題だと思います。
解決策:最大利益が出せるWin-Winな方法
主に制作者のアバターに対応した衣装やアクセサリー等を販売をしている人がキャンペーンを企画しているように見受けられました。効果が期待できる発売日の最も注目が高いタイミングで便乗してキャンペーンを行う人が続出しているように思えます。制作者がすべてに対応するのは難しいため、キャンペーンを行う側が配慮する必要があると考えます。
キャンペーンの良い所だけを採用し、不平等感を払拭するようなWin-Winの状況になれば市場の潤滑油になるのではないかと個人的に思います。制作者に負担をかけず、他人が一方的にキャンペーンを実施する際の解決策を考察していきます。
妥協案
必要な項目は制作者をリスペクトしていることを表明、アカウントや販売ページへの導線の明確化をすることだと思います。
キャンペーンを行う際、制作者の作品が使用されていることを明示し、制作者の名前やリンクを紹介することで、キャンペーンの目的が利益のみではなく、制作者の作品へのリスペクトや紹介であることを強調する。
実施者がキャンペーンによって得たフォロワーに対して、制作者のフォロワーやファンを増やすための投稿やPRを自発的に行う。制作者が何もせずにプロモーション効果を得ることができます。
発売日の実施は販売の妨げになるため実施タイミングの配慮をする。当選者発表は発売日前もしくは、発売日から1カ月が経ってから実施すること。
※テンプレート案を考えたのでコピペして自由に使って下さい。
3Dモデル『〇〇』プレゼントキャンペーンを実施致します🎁
制作者アカウント:@▲▲
制作者の商品ページ:アドレス
オリジナルアバター「○○」
を抽選で●名様にプレゼント!
#VRChat などの関連タグ
----------------------------
■応募方法
制作者@▲▲と実施者@△△をフォロー
この投稿をいいね&リポスト
制作者のBOOTHページでスキを押す
応募締切 : 2024/●/●(曜日) 00:00まで
当選発表 : 2024/●/●(曜日) 00:00
◆備考
・当選した枠の譲渡も可能
・RP100毎に1枠追加
制作者のフォローやBoothのスキは確認できませんが、導線を示すことが重要です。
回避策・対策(他人に利用されたくない場合、関与したくない場合)
上記の妥協案だと、制作者がいくつかの悪い点に目をつぶる形になってしまう為、それが嫌な方は対策した方が良いでしょう。
制作者は作品の無断利用を防ぐために、著作権や使用条件を規約に記載することが必要です。気に掛かる様なキャンペーンを見つけた場合は、そのキャンペーンに関して公に表明することも効果的です。
制作者は利用規約に『キャンペーン内容に制作者への導線を記載すること』『キャンペーン実施は2024/●/●以降にお願いします』などを記載する。
製作者は規約に記載する以外にも「当方は関与いたしませんので、規約に則りご自由に行ってください。」など公に表明することで、トラブルを回避することができます。
まとめ
他人が行うキャンペーンを否定するものではありません。言いたいことは制作者のリスペクトを忘れない事です。何カ月も掛けて作成した3Dモデルの人気を無断利用しているという事を意識してほしいです。
今回調べてわかったのが、フォロー&リポストキャンペーンは、効果的なプロモーション手法である反面、無断で作品を利用する場合、制作者に不利益をもたらす可能性が高いという事です。
この記事を書く切っ掛けとなったのも、制作者がキャンペーン実施者に対して「なぜ自分のモデルを利用するのか?」とリプライしたところ、「目についたから、人気だから」という返事を見たからです。そのキャンペーンは制作者の希望で終了間近に取り下げになりましたが、フォロワーは数百人集まっておりプレゼントもしないというバッドエンドでした。
私自身も第三者として怒りを感じました。制作者に対する敬意や配慮が欠けている行為は、単なる迷惑行為です。
公平なキャンペーン運営のためにも、制作者の労力や価値を尊重することが何よりも重要です。リスペクトを怠らず、キャンペーンによって多くの関心を集めればより良い環境が整うと思います。
長い文章になってしまい上手く纏まっていませんが、モヤモヤを抱える人の答えになることを願います。
コメント